プレス成形業界において、ロバスト性は重要な課題です。これまで企業は、生産段階におけるプレス成形のロバスト性に注目し、生産部や品質管理部が管理してきました。近年は最新のシミュレーション・ソフトウェアによって、製品および金型設計の初期段階から、プレス成形のロバスト性を検討できるようになりました。つまり、ロバストなプレス成形工程を実現するために、最適な製品設計や金型設計を開発することができます。
ロバスト性解析では、事前に定義した工程条件をもとに、深絞り工程の安定性を解析します。日々の生産現場では、ある日は部品を円滑に生産でき、その翌日には生産条件に全く変更がないのに、不良品が発生することがあります。これは成形工程の加工バラツキや変動幅によるものです。
実際の生産条件下では、絞りのパラメータに、重要で不可避かつ制御不能なバラツキが存在します。これらのバラツキは、2つのクラスに分類できます。
ロバスト性解析は、ノイズ変数が成形工程に与える影響を解析します。ユーザーは、各加工バラツキの変動幅を、平均値や関連する標準偏差として定義します。この変動幅をもとに、複数のシミュレーションを実行します。そして感度解析で実行したものと同じ解析を使い、すべてのシミュレーションを解析します。しかしこれは設計パラメータではなく、ノイズ変数の変動幅をもとに解析しています。このように、ノイズ変数に依存する品質が計算されます。ロバスト性解析では、さまざまなパラメータに共通する加工バラツキの影響下で、成形工程が安定しているかを検証できます。
ノイズ変数の影響や感度が既知であれば、それに応じて成形工程を設計できるため、
選択したノイズ変数に対する成形工程の安定性と能力を、結果から予測します。ロバスト性解析を実行することで、ノイズ変数を考慮した最善の成形条件を含む、ロバストなプロセス・ウィンドウを検討できます。
プレス成形のロバスト性を検討することで、成形上の不具合を車両開発サイクルの早期段階で解決できるため、時間と資源の節約につながります。つまり新車モデルをより早く市場へ届けることが可能になり、市場競争力が高まります。
AutoFormロバスト性解析についての詳細情報:
フォード車のロバストな生産[英語版]
ロバストなプレス成形の設計 - 製品および金型の設計[英語版]
感度解析、 最適化およびロバスト性のソフトウェア